近年では、地中海式料理などオリーブオイルが健康に良いと注目が集まり、様々なメディアで取り上げられています。身近になったオリーブオイルですが、他の油には無いエクストラバージンオリーブオイルにだけに存在する効能があります。その効能は、もう全員が摂った方が良いと思うほどでした。それは、実際にどんな効能と特徴があるのかを今回ご紹介したいと思います。
目次
1.抗炎症作用と抗酸化作用がある
エクストラバージンオリーブオイルにはなんと薬と同等レベルの抗炎症作用、それから抗酸化作用があるんです。ただの油なのに凄いと思いませんか?
例えば他の油ですが、ごま油、コーン油、菜種油や大豆油などの油には、抗炎症作用や抗酸化作用がありません。このような効能があるのは、エクストラバージンオリーブオイルだけなんです。エクストラバージンオリーブオイルの油成分が他の油とは異なっているからなのです。主な成分としてオレイン酸という油で、酸化しにくい性質も特徴的です。
2.オリーブオイルが傷みづらい理由
脂肪酸は大きく不飽和脂肪酸(常温で液体)と飽和脂肪酸(常温で固体)に分かれます。不飽和脂肪酸には、体内で作れない多価不飽和脂肪酸と、体内で作ることのできる一価不飽和脂肪酸があります。そしてオレイン酸というのは一価不飽和脂肪酸脂肪酸です。このオレイン酸は、他の植物性油と違い炭素の結合の仕方が異なります。
どう違うかと言うと、エクストラバージンオリーブオイルは炭素同士の結合が「C-C」のように1本で結合している部分が多いのに比べ、その他の植物油は、炭素同士が「C=C」のように2重で結合している部分が多くあります。この2重で結合している部分が多ければ多いほど油が傷みやすくなることになります。その結合が少ないエクストラバージンオリーブオイルは、安定しておりキッチンに置いておいても痛みづらい油になります。
また、オリーブオイルと菜種油を比べてみるとカロリーは一緒ぐらいなんですが、飽和脂肪酸の量はオリーブオイルが圧倒的に多く、一価不飽和脂肪酸の量は菜種油と一緒ぐらいの量です。しかし圧倒的に違うのは、多価不飽和脂肪酸というのがエクストラバージンオリーブオイルにはほとんど入ってないんです。多価不飽和脂肪酸は、熱や光、空気で酸化しやすく、過酸化脂質になりやすい性質があります。
3.様々な活性成分が含まれている
エクストラバージンオリーブオイルで注目してもらいたいのが活性成分です。エクストラバージンオリーブオイルは、油の成分だけでなく健康上の効能として、ポリフェノールの様な色々な活性成分が少しずつ少しずつ入っています。これも他の植物以来の油には入っていないことからも、オリーブオイルの特徴と言えます。
特に注目すべきなが、先ほどのポリフェノールとヒドロキシチロソールです。エクストラバージンオリーブオイルは工業的に作るのではなく、手作業で作ったもので味も食感も良く、何よりも工業的に作られていないので傷んでません。天然のジュースみたいな形の作り方なので、天然成分が他の油と違い残っているところも特徴です。
4.遺伝子のレベルで人体に影響を与える
エクストラバージンオリーブオイルは驚いたことに遺伝子レベルで炎症性の遺伝子発生を抑制するんです。これは、オレオカンタールという成分でオリーブオイルに含まれる、かすかにピリと刺激のある辛味の原因物質です。もう一つはヒドロキシチロソールというポリフェノールです。
これらのポリフェノールがCRPという炎症性のタンパクの生成を抑えます。また、インターロイキン6という物質があり、これは抗炎症の作用を持ち抗体を作るように指令する分子で、「新型コロナウィルス感染症による死亡率を下げる治療法を確立できるかもしれない」と期待されています。
このような成分が入っているエクストラバージンオリーブオイルを摂取しておけば、コロナに対する不安も少しは和らぐのではないでしょうか?
5.心臓の疾患のリスク軽減
2020年のアメリカ循環器学会、有名なAHA(American Heart Association)と言う団体は、オリーブオイルの摂取が心臓の疾患に有益であるかどうかの研究発表を行いました。
研究内容は、1990年から2014年までの24年間で、アメリカの女性看護師63,867人と医療専門家の男性35,512人に、「食事とライフスタイルについて」のアンケートに回答してもらうというもので、被験者は4年ごとにアンケートに回答するというものでした。
その研究でオリーブオイルの摂取量が、1日に7グラム以上摂取する人は摂取してない人に比べ、心臓病などのリスクが15%少ないという結果が得られたと発表しています。しかし、1度に多量のオリーブオイルを摂取しても、リスクは変化に影響しない事も分かりました。
つまり少量を定期的に摂取することが大切です。
6.血圧が問題となる病気にも
一般に悪玉と言われる、LDLコレステロールというのが動脈硬化の危険因子と言われています。しかし、実はLDLコレステロールではなく、そのLDLコレステロールが酸化した状態というのが、血管の病にとってリスク因子となるということが分かっています。
そのLDLコレステロールが酸化するのをエクストラバージンオリーブオイルは防止します。つまり、動脈硬化や脳卒中などの血圧の上昇が問題となる病気に対して効果がある可能性が十分あると言われています。
7.肥満や糖尿病にも効果的
オリーブオイルを摂取すると食後の脂質上昇に伴う炎症が少ないということが確認されています。どうゆう事かと言うと、普段は気付かないですが食事を摂ったあとは、血糖値が上昇するのと同時に中性脂肪値も上昇します。この中性脂肪値が上昇する時、実は身体中で炎症が起こっています。
以前の考えでは、中性脂肪と心臓疾患や血管の疾患に関連性がないとされていました。しかし、近年では食後に上昇する中性脂肪の値が、心臓病や脳卒中に密接に関連している事が分かってきました。その内容は、中性脂肪値が上昇することによって、体内の炎症経路というのを刺激します。この炎症経路を刺激するときに、摂取した油の種類によってその炎症の仕方が変わって来ます。
メタボリック症候群と言われるような肥満、糖尿病、また糖尿病の前段階の人は体が炎症を起こしやすい状況にあり、食後の中性脂肪値の上昇にともなう炎症がものすごく大きくなります。エクストラバージンオリーブオイルは、食後の中性脂肪値の上昇そのものも抑えるのと同時に、食後の炎症を抑えるという作用があります。この炎症を抑える作用というのは、インシュリン抵抗性と言われるような糖尿病を引き起こす原因を改善することが出来ると注目されています。
8.長寿の秘訣として
疫学的な研究では、血圧や糖尿などに対しても効果があるということが言われており、現在健康な方にも状態を維持する為に摂取する事は有効です。前述のアメリカでの研究結果が、なぜ最初に注目されたかというと、まず「オリーブオイルの摂取量がはるかに多い地中海諸国で、オリーブオイルの大量消費と心血管の健康状態が関連している。」という研究結果があり、そしてAHAが調査研究を実施しました。
アメリカ人はもともとオリーブオイルの摂取が少ないのですが、定期的に摂取することで病気のリスクが下がったという研究結果を受け、普段は摂取していない人でも十分効果があるという事が分かったのです。病気のリスクが下がることは、つまり寿命が延びることに繋がります。
「日本人は、オリーブオイルなんか使わなくても長生きしている。昔からオリーブオイルなんか摂ってはいない。」と考える人もいると思いますが、当時と比べ現在私たちが食べている食事には、欧米式の食事が増え、更に添加物や保存料なども含まれており、当時のものとは全然違うものとなっています。
体への負担を軽減する為にオリーブオイルを日常で摂取することは、健康を維持する為に非常に有効です。
9.まとめ
オリーブオイルは成分の違いや効能から、様々な病気の予防や改善に効果があると言うことが分かってきています。コロナが流行っている現状で、いざ体に不調が起こった時に免疫システムがいち早く、スムーズに機能するためにも常日頃オリーブオイルを摂取するということを意識していきたいですね。